

製品概要
ARCoptix社の液晶ラジアル偏光コンバーターは、直線偏光を入射するとラジアルまたはアジマス偏光をつくることができる新しい偏光素子です。従来の軸対称光学素子は、いくつかのセグメントに分かれた波長板が用いられていたため、偏光軸は階段状に変化していました。しかし、液晶コンバーターは偏光軸が連続に変化する軸対称偏光ビームを作ることができます。本製品は波長350〜1700 nmの広い波長範囲で使用でき、専用ドライバーおよびソフトウェアで、コンバーター内部のコンペンセーターとTNセルを調整して最適な軸対称ビームを作ります。
なお、ARCoptix社では同様に軸対称偏光を生成可能な液晶偏光スパイラルプレートも取り扱っています。
連続的な軸対称偏光、広い対応波長
現在市販されている複数の波長板を使った軸対称偏光素子は、図の左側のように主軸方位が回転するように波長板を並べています。 しかし、この方法では必ず繋ぎ目ができてしまい、また分割数をあまり増やすことができないため、理想的な軸対称偏光を作ることができません。
一方、液晶コンバーターのθセルは図右側のようにツイストネマティック液晶が同心円状に配向されており、なおかつ繋ぎ目のない連続的な軸対称偏光を作ることができます。
液晶ラジアル偏光コンバーターのθセルに水平または垂直直線偏光を入射すると、ツイストネマティック液晶の回転角に応じて直線偏光が回転し、その結果ラジアル偏光、またはアジマス偏光が得られます。ツイストネマティック液晶による偏光の回転は波長分散が小さく、波長350〜1700nmで使用可能です。
レーザー光で使用する場合
液晶ラジアル偏光コンバーターをコヒーレンスの高いレーザー光で使用する場合、中心にディフェクトラインが発生します。これは、コンバーターのθセルの上下で位相がπ異なるためです。これを解決するため、液晶コンペンセーターを前側に追加して上半分だけ位相差πを与えてからθセルを透過させることで、ディフェクトラインを大幅に軽減することができます。ただし、コンペンセーターは波長依存性を持つため、使用波長ごとに印加電圧を制御する必要があります。
TNセルによるラジアル、アジマス偏光の切替え
液晶ラジアル偏光コンバーターにTNセルを追加すると、LCドライバー(電源)による電圧制御でラジアル、アジマス偏光の切替えが可能になります。特に、コンペンセーターを使ってアジマス偏光を作る場合は必須になります。
特長
・波長範囲350〜1700nm
・アジマス、ラジアル偏光の切り換え
・連続的な偏光軸変化
主な用途
・レーザー加工
・レーザー顕微分光の高空間分解能化
・リング状物質の光計測
・光渦を使った偏光計測
・光ピンセット
・Z偏光生成 など
基本仕様
波長範囲 | 350~1700 nm |
有効径 | 10 mm |
透過率 | >75%@VIS |
使用温度範囲 | 1535℃ |
強度均一性 | <1/100 RMS |
消光比 | 1:100@630 nm |
ダメージしきい値 | CW 500 W/cm2 10 ns VIS 300 mJ/cm2 10 ns 1064nm 200 mJ/cm2 |
寸法 | 60×40×15 mm |
- 仕様は予告なく変更になる場合があります。
各モデル比較
モデル | RADPOL1 | RADPOL2 | RADPOL3 | RADPOL4 |
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ラジアル偏光生成 | ○ | ○ | ||
アジマス偏光生成 | ○ | × | ○ | |
ラジアル/アジマス切替 | 水平/垂直直線偏光入射 | - | TNセル印加電圧 5V:ラジアル 0V:アジマス |
|
π位相ステップ除去 | × | ○ | ||
LCドライバー | 不要 | 必要 | ||
XY微調整ハウジング | あり/なし | なし | あり | |
構成 | コンバーター | コンバーター コンペンセーター |
コンバーター コンペンセーター TNセル |
構成部品説明
•コンペンセーターによる位相ステップの除去
コンバーターの上下で液晶の向きが異なるため、上下で位相がπずれます。 レーザー光など干渉性の強い光源で使用すると中心にライン状の回折光が発生します。コンペンセーター付モデルは、ビームの上半分に位相πを与え、下半分はそのまま透過させることで位相ステップを補正して回折光を軽減します。また、均一な位相が必要な用途で使用できます。
•コンペンセーターの波長依存性
コンペンセーターは波長依存性があります。回折光が最も軽減されるように印加電圧を調整してください。
•TNセルによるラジアル/アジマス偏光の切替え
RADPOL2、RADPOL3はアジマス偏光を生成できません。TNセルを持つRADPOL4は、TNセルへの印加電圧でラジアル/アジマス偏光を切り換えることができます。印加電圧の調整は必要なく、一定の電圧以上を印加します。RADPOL1は入射側の直線偏光方位を変えると切替えできます。
•LCドライバー
USB接続で、コンペンセーターとTNセルの印加電圧をソフトウェアから制御します。ソフトウェア開発用のDLLと、LabView VIが付属しています。LCドライバーではなく、正負の矩形波が出力できるファンクションジェネレーターも使用できます。
更新日 | 更新内容 | サイズ | ダウンロード |
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製品に関するご質問・ご相談
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ラジアル偏光、アジマス偏光の切替えはどのようにすればよいですか
入射偏光を水平または垂直直線偏光に切替えるとラジアル/アジマス偏光になります。(RADPOL1) -
電源は必要ですか
θセルのみのRADPOL1モデルは必要ありません。コンペンセーターやTNセルを含むモデルは専用のLCドライバーなどの電源が必要です。 -
コンペンセーターは必要ですか
θセルのみからの出射光の偏光方位を見ると軸対称偏光になっていますが、ビームの波面が上下でπずれていてるため等位相ではありません(out of phase状態)。レーザー光で使う場合、ディフェクトラインが発生するためコンペンセーターはほぼ必須になります。また、等位相(in phase状態)が求められる用途でもコンペンセーターは必要です。