

製品概要
液晶偏光スパイラルプレート(Q-plate)は、ラジアル、アジマス偏光といった軸対称偏光や、起動角運動量を持った光渦を簡単に生成できる新しい液晶偏光素子です。対応波長は400〜1700nmと広く、印加電圧を制御することで最適な偏光を生成できます。
スパイラルプレートに円偏光を入射すると、波面が螺旋を描く光渦を生成できます。また、直線偏光を入射するとラジアル偏光およびアジマス偏光を生成できます。トポロジカルチャージl=1の標準モデルの他に、l=2も用意可能です。
ARCoptix社では液晶軸対称偏光コンバーターを取り扱っていますが、多くの用途でスパイラルプレートが優れています。詳しくは仕様を確認してください。
光渦の生成
スパイラルプレートに円偏光を入射すると、図のように波面が螺旋を描く光渦が生成されます。また、スパイラルプレートの印加電圧によって光渦生成をオンオフできます。光渦は軌道角運動量を持つため、例えばレーザーマニピュレーションによって微小物体に回転運動を発生させることができます。
軸対称偏光の生成
スパイラルプレートに直線偏光を入射すると、図のように偏光軸が軸対称なラジアル偏光やアジマス偏光が生成されます。高N.A.レンズで集光することで、集光点近傍でZ偏光を作ることができます。
専用LCドライバー
液晶偏光スパイラルプレートは専用のLCドライバー(電源)またはファンクションジェネレーターで駆動します。 専用のLCドライバーは小型軽量、USB接続で、ソフトウェアから印加電圧を制御します。 なお、LCドハイバーにはソフトウェア開発のためのDLLやLabview VIが付属しています。
印加電圧や入射偏光を工夫することで、レモン形状のビーム等を生成することも可能です。
特長
・波長範囲400〜1700 nm
・光渦の生成
・ラジアル / アジマス偏光生成
主な用途
・ドーナツ形状ビーム
・集光点サイズの縮小
・軌道角運動量を利用した光トラップ
・レーザー加工
・2光子顕微鏡、STED
など
液晶偏光スパイラルプレート仕様
波長範囲 | 400~1700nm |
リタデーション範囲 | 0-5VAC による調整 |
トポロジカルチャージ | Q=0.5標準 (トポロジカルチャージl=1に相当) Q=1 作成可能 (トポロジカルチャージl=2に相当) |
有効径 | 12mm |
透過率 | 85%以上 @VIS |
材料 / 基板 | ネマティック液晶 / BK7 |
消光比 | 100:1 (クロスニコル) |
強度均一性 | < 1/100 RMS |
使用温度範囲 | 15~35℃ |
ダメージしきい値 | CW 300 W/cm2 10ns 450-1500nm, 100 mJ/cm2 10ns <450nm, 50 mJ/cm2 |
反射防止コーティング | VIS用 |
寸法 | 60 x 40 15 mm |
- 仕様は予告なく変更になる場合があります。
入射偏光、リタデーションと出射偏光の関係
生成する偏光 | リタデーションの設定 | 入射偏光 |
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ラジアル偏光 | π | 垂直直線偏光 |
アジマス偏光 | π | 水平直線偏光 |
光渦(左右円偏光) | π | (左右)円偏光 |
変化なし(ニュートラル) | n * 2π | - |
液晶軸対称偏光コンバーターとの違い
ARCoptix社の液晶軸対称偏光コンバーターと液晶可変スパイラルプレートは両製品ともに軸対称偏光を生成できます。しかし、スパイラルプレートはPiステップが存在しない、光渦が生成できるアドバンテージがあります。
製品名 | 液晶軸対称偏光コンバーター | 液晶可変スパイラルプレート |
---|---|---|
テクノロジー | ネマティック液晶 (ラビング膜あり) | ネマティック液晶 (UV照射で配向されたフィルムあり) |
Q値 | - | Q= 0.5,1 標準 |
軌道角運動量 (トポロジカルチャージ) |
+-1 | +-1 |
波長範囲 | 400 - 1700nm | 400 - 1700nm |
白色光での使用 | 可能 (モデルによる) | 最大100nm幅 |
特異点の生成 | 固定 | 入射偏光およびリタデーションによる |
ラジアル/アジマス偏光生成 | 可能 | 可能 |
光渦生成 | 不可能 | 可能 (円偏光入射) |
Piステップ | あり。取り除くにはコンペンセーター付モデルが必要 | なし |
電源 | 必要。(モデルによる) | 必要 |
更新日 | 更新内容 | サイズ | ダウンロード |
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製品に関するご質問・ご相談
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電圧をどの程度にすればよいか参考資料はありますか
基本的にはありませんが、参考となるグラフはあります。何かしらの方法でリタデーションを測定するか、実際の出射偏光状態を見ながら印加電圧を設定する必要があります。 -
波長ごとに特性は異なりますか
複屈折のの分散があります。入射波長ごとに印加電圧を制御する必要があります。 -
専用のLCドライバー以外でも駆動できますか
可能です。±10V(LCドライバーは8.8V)までの矩形波(周波数100Hz~1kHz)が出力できるファンクションジェネレーターを使用してください。 -
液晶軸対称偏光コンバーターとどちらが優れていますか
多くの用途で液晶スパイラルプレートの方が優れていると思われます。判断が付かない場合はお問い合わせください。