EKSPLA社の加工例

金属加工

複雑形状からマーキングまで:新たな可能性を拓くフェムト秒レーザー加工

フェムト秒レーザーは、金属に複雑な形状や微細構造を形成可能です。さらに、化学添加物を用いることなく、黒色/白色マーキングはもちろん、多様な色での発色も可能です。

主な特長

・複雑形状加工
・微細構造形成
・黒色/白色マーキング
・化学添加物フリーの発色

  • MHzバースト・フェムト秒レーザー加工でスループットを飛躍的に改善(アルミニウム、銅、ステンレス鋼)

    フェムト秒レーザー加工は高い加工精度を有する一方で、加工速度が課題となりますが、最も効率的に加工できるパルス条件にレーザを設定することで加工時間を飛躍的に改善できます。MHzバーストが最も有効な手段となります。
    MHzバースト:加工速度向上を実現するキーテクノロジー
  • 各種金属の加工

    材料への熱の影響が小さいフェムト秒パルスレーザー加工はバリの発生がなく、高精度な金属加工が可能です。特に金属箔の精密加工は、他の方法では不可能とされます。フェムト秒レーザーは様々な金属材料の精密加工が可能です。





     
  • 金属のカラーマーキング

    金属へのマーキングはレーザー加工の最も重要なアプリケーションの1つです。フェムト秒レーザーを使って金属表面に微細構造を作ると、光をほとんど反射できなくなります。この技術を使うと金属表面に高コントラストの黒色マーキングを施すことが可能です。高いコントラストと、高い環境耐性を持ちます。レーザーを使って金属表面に酸化物層を形成すると、層の厚さに応じて、さまざまな色を発色させることができます。

     
  • 金属表面の微細加工

    材料にフェムト秒パルスを照射して、金属表面に特殊な構造を作ることで、材料に新しい機能を付加できます。照射するフェムト秒レーザパルスの強度を材料のアブレーション閾値にすると、レーザー誘起周期表面構造(LIPSS)が形成されます。LIPSSは光の吸収特性、濡れ特性、摩擦特性を変化させるだけでなく、抗菌特性を持たせることが可能です。


  • Nitinol stentの切断

    フェムト秒レーザーは、医療で使われる重要なディバイスの一つであるNitinol stentを高精度に切断できます。材料に熱の影響を与えないフェムト秒レーザーパルスは、バリのない滑らかな切断面を実現します。フェムト秒レーザーの高い加工品質は、人体の中で正確に機能するために緻密に設計されたNitinol stentの製造の製造に必要不可欠です。

MHzバースト・フェムト秒レーザー加工でスループットを飛躍的に改善(アルミニウム、銅、ステンレス鋼)

BAM落槌感度試験機

効率的にレーザー加工されたアルミニウム製フレネルレンズ金型、直径35mm
(a)光学写真
(b)3Dハイトマップ
(c)構造体の中央からの2Dプロファイル FTMC提供

MHzバーストモードによる金属の高速加工(アルミニウム、銅、ステンレス)

フェムト秒レーザー加工は高い加工精度を有する一方で、加工速度が課題となりますが、最も効率的に加工できるパルス条件にレーザを設定することで加工時間を飛躍的に改善できます。その最適化にMHzバーストが最も有効な手段となります。

フェムト秒加工におけるスループットの課題

フェムト秒レーザー加工は高い加工精度を有する一方で、その加工速度の遅さが問題視されています。最も効率的に加工できるパルス条件にレーザを設定することで、加工時間の問題を改善できますが、高出力のフェムト秒レーザーを使用した場合、加工速度と加工品質を両立できる条件に設定することは容易ではありません。
単純に高出力のフェムト秒パルスで加工速度を上げようとすると、繰り返し周波数を上げることになります。

ですが結果的に材料に照射されるエネルギーの総量が増えるため、材料に熱が蓄積されてしまい加工の品質低下を招きます。

MHzバーストモードによる解決策

MHzバーストモードは、高エネルギーパルスを複数のサブパルスに分割することで、材料に照射されるエネルギーの総量は変えずに加工に最適なパルス条件を実現します。特に金属において、単一パルスモードと比較して材料加工効率が向上し、同時に高い加工品質を実現させます。

FemtoLux 30による加工事例

FemtoLux 30レーザーを用いたA. Žemaitis et al.による研究では、アルミニウム、銅、ステンレス鋼の加工において最適条件が報告されています。彼らはパルスの繰り返し周波数とMHzバースト内のパルス数を変化させて1つの材料に110個の空洞を切削加工しました。MHzバーストモードを使用することで加工時間の短縮と高い加工精度、小さな表面粗さの加工が可能であることを確認しています。

特に、アルミニウム、銅、ステンレス鋼において、MHzバーストを使うと単一パルスによる加工に比べて切削効率がそれぞれアルミニウム18%、銅44.5%、ステンレス37%向上しました。

MHzバーストによる各種金属サンプルの処理結果

素材 除去効率 除去速度 表面粗さ バーストパルス数
アルミニウム 7.0 µm3/µJ 9.2mm3/min 1.7 µm 10
4.2 µm3/µJ 5.6mm3/min 2 µm 5
スチール 3.9μm3/μJ 5.1mm3/min 1.7 µmの場合 10
BAM落槌感度試験機

(a)実験セットアップ
(b)パルス繰り返し率とバーストごとのパルス数を変化させることによる
金属に対する除去効率と除去率の最適化
(c)除去効率と表面粗さの相関性
(d)異なる操作モード; シングルパルスとMHzバーストモード
(バーストモードでは3パルスを表示)
FTMC提供

文献: “The ultrafast burst laser ablation of metals: Speed and quality come together”
A. Žemaitis, U. Gudauskytė, S. Steponavičiūtė, P. Gečys, and M. Gedvilas, Optics & Laser Technology 180, 111458 (2024). DOI: 10.1016/j.optlastec.2024.111458.

各種金属の加工

BAM落槌感度試験機

ステンレス鋼切断
FTMC提供

フェムト秒レーザの超短パルスは材料への熱の影響が非常に小さいため、バリのない高精度な金属加工が可能です。特に金属箔の微細加工は、従来の加工方法では不可欠とされています。フェムト秒レーザを使うと、金属薄膜に複雑な加工を施すことが可能です。

FemtoLux 30は、ステンレス鋼、銅、コバールを含むさまざまな金属の切断において数多くの実績があります。それぞれの材料に最適な加工パラメータをFemtoLux 30にセットすることで、高品質の加工結果が得られます

ステンレス鋼の切断
FTMC提供

ステンレスの切断
FTMC提供

ステンレス鋼加工サンプルの
走査型電子顕微鏡写真
FTMC提供

厚さ100 µmの
ステンレス鋼切断
Laser Micromachining Ltd.提供

厚さ100 µmの
ステンレス鋼切断
Laser Micromachining Ltd.提供

加工された
ステンレス鋼サンプルの
走査型電子顕微鏡画像
Laser Micromachining Ltd.提供

厚さ50 µmの
ステンレス鋼切断
Laser Micromachining Ltd.提供

コバール切断
Laser Micromachining Ltd.提供

125µm厚のタンタル切断
Laser Micromachining Ltd.提供

金属のカラーマーキング

BAM落槌感度試験機

ニチノールのLIPSSによるグリッド表面テクスチャリング
UNIMORE提供

金属表面へのマーキングと着色はフェムト秒レーザー加工の重要なアプリケーションの1つです。フェムト秒レーザーを使って金属表面に特定の構造を作製すると、入射した光のほとんどを吸収してしまうので、高コントラストの黒色マーキングを実現します。高いコントラスト同時に、着色に塗料などの添加物を必要としないので高い耐環境性があります。また、フェムト秒レーザーの照射条件を適切に調整して表面に酸化膜層を形成させると、酸化膜層の厚さに応じてさまざま色を発色させることが可能です。

FemtoLux 30レーザーは、ブラックマーキングおよび酸化膜による発色に最も理想的なレーザーです。350 fsのフェムト秒パルスでステンレス鋼などさまざまな金属表面に高コントラストかつ高い耐環境性を持つのあ黒色マーキングが可能です。医療用のピンセットやその他の医療用器具へのマーキングで実際に使用されています。FemtoLux 30レーザーのGHzバーストは金属材料への熱的な効果を正確に制御することができるので、金属の表面の酸化膜の形成と発色を正確に制御することが可能です。 バースト内のパルス数を変化させることで、酸化膜層の膜圧を変化せることが可能です。青、シアン、緑、黄、オレンジ、ピンク、赤などの鮮やかな色を、化学的な添加物を一切使用せずに発色させることが可能です。

ステンレススチールのカラーマーキング
Akoneer提供

チタンフィルムのカラーマーキング
Akoneer提供

金属表面の微細加工

BAM落槌感度試験機

ニチノールのLIPSSによるグリッド表面テクスチャリング
UNIMORE提供

材料にフェムト秒パルスを照射することで、複雑な形状を作り出し、金属表面を機能化することが可能です。アブレーションしきい値エネルギーレベル付近で動作させることで、レーザー誘起周期表面構造(LIPSS)の生成が可能になり、金属の表面特性を変化させ、光吸収(ブラックマーキング)を改善し、濡れ性を調整し、トライボロジーを強化し、抗菌表面を作成します。

FemtoLux 30は、金属表面のテクスチャリングと機能化に使用される。このレーザー光源は、表面に複雑な形状を持つアルミニウム金型などのマスター金型にテクスチャ加工を施すことができます。もう一つの応用は、細胞の付着を減少させる方法で金属をテクスチャー化することによる抗菌性表面の形成です。パルスエネルギーを精密に調整することで、ナノ特徴を持つ階層構造を金属表面に形成することができ、バクテリアの付着を大幅に減少させることができます。

ステンレス鋼のLIPSSによる三角形の
表面テクスチャリング
UNIMORE提供

アルミニウム金型
FTMC提供

Nitinol stentの切断

フェムト秒レーザーは、医療で使われる重要なディバイスの一つであるNitinol stentを高精度に切断できます。材料に熱の影響を与えないフェムト秒レーザーパルスは、バリのない滑らかな切断面を実現します。フェムト秒レーザーの高い加工品質は、人体の中で正確に機能するために緻密に設計されたNitinol stentの切断に必要不可欠となっています。FemutoLux 30はNitinol Stentの形状を変化させることなく、高精度に切断し、その断面は滑らかです。

ニチノールステントの切断
JEM Laser社提供

ニチノール製ステントの切断
Vactronix Scientific社提供